せっかく家庭菜園で節約しようと意気込んでも、スーパーで買った方が得と言われがちです。
確かに工夫しないで野菜を育てると、資材代が高くついて節約メリットが少なくなくなりますよね。
でも、特に資材費用で大きな部分を占める培養土は、ちょっと頑張って リサイクル(培養土の再生)すれば、購入費用を半分にする事ができます。
わたしはリサイクル土と新しい培養土を半分づつ混ぜて使うことで、全て新しい培養土を使う場合に比べ培養土代を半額で済ましています。
これで連作障害による生育不良などの弊害は出た事がありません。
今回の記事では、プランター栽培での培養土のリサイクル方法を紹介したいと思います。
培養土リサイクルの方法
プランター栽培での培養土のリサイクル方法には、2つの方法があります。
『夏の日光消毒』と『冬の寒起こし』でのリサイクルです。
培養土のリサイクルには、『夏の日光消毒』が一般的です。
また、農民が昔から行ってきた、『冬の寒さに土を当てる寒起こし(寒ざらし)』も有効なリサイクル方法です。
この2つのリサイクル方法を使うと、効率よく培養土のリサイクルができます。
日光消毒リサイクル
日光消毒は、夏だけではなく春でも秋でも、暖かい地域ならば冬でも可能なようです。
土を日光で高温高湿にすることで、害虫や病原菌を死滅させるのが狙いです。
- 園芸シートに古土を広げ、天日干しで乾かす
湿っているとフルイが上手く出来ないので、サラサラになるまで乾かします。 - フルイで根や微塵を取り除く
中目のフルイを使い、網に残った根等の大きなゴミを除きます。
写真はフルイを使う前。
フルイを揺すると根が塊になるので、
これを取り除きます。
つぎに細目のフルイを使い、網から落ちた微塵を除きます。
左側の粒が細かいのが微塵で、これは処分します。最終的に半分程になります。
微塵を除かないと水捌けが悪くなります。 - 『透明ビニール袋』に古土を入れ、水を加えて湿らせて密封し、日なたで放置
放置する日数は、夏は2~3日、春や秋なら1週間が良いようです。
トロ舟を使って作業しているならば、トロ舟をビニール袋で蓋をし日光に当てると簡単です。
黒いトロ舟が熱を吸収し熱くなるので、太陽さえ出れば、外気温が20℃にいかない10月でも、内部は容易に50℃以上になりました。
水滴が溜らないように太陽に向けて斜めにしています。 - リサイクル材を古土に混ぜる
上記の手順が推奨される古土の再生方法です。
しかし、春野菜で使った培養土を秋野菜に使いまわすには、残暑がきつい中での フルイ掛け は大変です。
秋野菜は『上手くいけばラッキー』程度で良いのであれば、フルイ掛け は省略し、ただし根などの野菜の残渣は出来るだけ取り除き、『透明ビニール袋での日光消毒』だけすれば、そこそこ大丈夫だと思います。
フルイ掛け や 微塵取り などは、春先にする『寒起こしリサイクル』時にシッカリ行います。


日光消毒で使う袋は『黒ビニール袋』と『透明ビニール袋』はどっちがよい?
日光消毒で古土を入れる袋の色に関し、『黒ビニール袋』が良いという意見と『透明ビニール袋』が良いという意見が見られます。
2つの意見のどちらが妥当か?悩ましいですが、『透明ビニール袋』を使う方が合理的と考えます。
何故なら 夏に車のダッシュボードが60℃を超える高温になる のと同じ原理で、『透明ビニール袋』はフロントガラスと同じように光を良く透し、中の黒色の古土が光を吸収して高温になり、密閉されている事で熱が逃げられずにドンドン貯まり、60℃近い高温 になる事が期待できるからです。
60℃は、センチュウを数分で退治出来る温度のようです。
45℃でも、4時間程度暴露すればセンチュウを退治できるようです。
一方で『黒色ビニール袋』では、薄いビニール自体は黒色なので光を良く吸収し高熱にはなりますが、中にある古土には光が届きにくく、むしろ温度が上り難くなると考えます。
結論として、日光消毒では古土を入れる袋には、『透明ビニール袋』をお勧めします。
寒起こしリサイクル
寒起こしは、気温が下がる12月から2月に行います。
土を氷点下に晒す ことで、害虫や病原菌を死滅させるのが狙いです。
なので残念ですが、西日本などの温暖地ではあまり有効ではないかもです。
冬、畑に空きスペースができたときに行いたいのが「寒起こし」です。地方によっては「寒ざらし」と呼ぶこともありますが、霜が降りる厳寒期に土を掘り起こし、土を寒気にあてる作業をいいます。
寒起こしのすすめ|アタリヤ農園
寒起こしリサイクルの方法
- トロ舟等のトレイに古土をあけ、移植ゴテ等で粗く割る
これは培養土が外気に触れる面積を増やす為です。
乾いている場合は水を撒き、全体に湿った状態にします。 - 蓋をして春まで放置
トロ舟には水抜き穴がないので、何かで蓋をしないと雨や雪で水浸しになってしまいます。
トロ舟の上に支柱などを置き、その上に段ボール等で蓋をすれば十分です。
これで雪で埋もれても大丈夫です。
段ボールをビニール袋で覆って防水すると、なお良しです。 - 園芸シートに古土を広げ、天日干しで乾かす
- フルイで根や微塵を取り除く
- リサイクル材を古土に混ぜる
リサイクル土の使い方/保管の仕方
古土をリサイクルすると、フルイで根や微塵を取り除く為に量が半分ほどになります。
これを栽培で使うときに、軽量カップで容積を計り、新旧培養土を半分づつ混ぜて使います。
リサイクルした培養土をすぐに使わないときは、『空いた培養土の袋で保管』がお勧めです。
袋には換気の為なのか小さい穴が開いています。
そもそもが培養土保管用の袋なのでこれを使うのが間違いないと思います。
リサイクルのデメリット(新培養土と混ぜて使う理由)
リサイクル処置で「土壌の消毒」「異物除去」「団粒構造再生」は出来ますが、前年の栽培により栄養分のバランスが崩れている可能性があります。
また、日光消毒も寒起こしも過酷な条件に培養土を晒しますので、有害微生物だけでなく、いわゆる有用微生物も減少している可能性があります。
新品培養土と混ぜて使うことで、栄養分のバランスと有用微生物をある程度は回復させることができると思います。
まとめ
リサイクル作業の為にトレイ/シート/フルイが初期投資として必要になるのが痛いですが、これらは10年以上使えますし、他の用途でも使えるので我慢です。
住宅地では古土の処理も面倒なので、再生して使うのは、それだけでも好都合と思います。
個人が出来るSDGsとしても、培養土のリサイクルに取り組むのは如何でしょうか。