家庭菜園は、コスパを考えるとスーパーで買った方が良いと言われがちです。
このように言われるのは、以下の2つの理由が大きいと考えます。
- 栽培規模が小さい為に、得られるメリットが小さい。
- 苗・培養土・肥料等の、必要な資材の購入にお金が掛かる。
栽培規模は『栽培する場所』や『掛けられる時間』の制限によるものなので、簡単に大きくする事はできません。
しかし資材費用の中でも大きい部分を占める 培養土 は、ちょっと頑張って リサイクル(培養土の再生)すれば、作業時に手間が掛かるものの、購入費用を半分にする事ができます。
わたしは家庭菜園の経験が10年程で、毎年リサイクル土と購入した培養土を半分づつあわせて使っていますが、連作障害による生育不良などの弊害は出た事がありません。
今回の記事では、プランター栽培での培養土のリサイクル方法を紹介したいと思います。
培養土リサイクルの方法
プランター栽培での培養土のリサイクル方法には、2つの方法があります。
『夏の日光消毒』と『冬の寒起こし』でのリサイクルです。
培養土のリサイクルというと、『夏の日光消毒』が一般的なようです。
家庭菜園の本では日光消毒しか見たことがありません。
ですが昔から農民が行ってきた、『冬の寒さに土を当てる寒起こし(寒ざらし)』も有効なリサイクル方法です。
寒起こしリサイクル
わが家は東北の雪国にあり、リサイクルといえば『寒起こし』で行っています。
東北だと、例えばトマト栽培が終わる秋には日差しが弱くなるので、日光消毒が面倒なんですよね。
寒起こしは、はじめは意図して行っていた訳ではなく、プランターに入れた培養土を冬もそのまま庭に放置 していた事が結果的に『寒起こし』的なものになっていただけなのですが、近年は意図して『寒起こし』を行っています。
寒起こしは、気温が下がる12月から2月に行います。
土を氷点下に晒すことで、害虫や病原菌を死滅させるのが狙いです。
冬、畑に空きスペースができたときに行いたいのが「寒起こし」です。地方によっては「寒ざらし」と呼ぶこともありますが、霜が降りる厳寒期に土を掘り起こし、土を寒気にあてる作業をいいます。
寒起こしのすすめ|アタリヤ農園
寒起こしリサイクルの方法
- トロ舟等のトレイに古土をあけ、移植ゴテ等で粗く割ります。
これは培養土が外気に触れる面積を増やす為です。
乾いている場合は水を撒き、全体に湿った状態にします。 - 蓋をして春まで放置
トロ舟には水抜き穴がないので、何かで蓋をしないと雨や雪で水浸しになってしまいます。
トロ舟の上に支柱などを置き、その上に段ボール等で蓋をすれば十分です。
これで雪で埋もれても大丈夫です。
段ボールをビニール袋で覆って防水すると、なお良しです。 - 春になったら園芸シートに古土を広げ、天日干しで乾かす
湿っているとフルイが上手く出来ない為です。 - フルイで根や微塵を取り除く
中目のフルイを使い、網に残った根等の大きなゴミを除きます。
写真はフルイを使う前。
フルイを揺すると根が塊になるので、
これを取り除きます。
つぎに細目のフルイを使い、網から落ちた微塵を除きます。
左側の粒が細かいのが微塵で、これは処分します。最終的に半分程になります。
微塵を除かないと水捌けが悪くなります。 - リサイクル材を古土に混ぜる
再生した培養土は、私の場合は、新品の培養土と1:1で混ぜて使います。
冬でも氷点下にならない暖かい地域では、寒起こしの効果は薄いかもしれません。
これらの地域の方には日光消毒をお勧めします。
日光消毒リサイクル
日光消毒は、夏だけではなく春でも秋でも、暖かい地域ならば冬でも可能なようです。
土を日光で高温高湿にすることで、害虫や病原菌を死滅させるのが狙いです。
- 園芸シートに古土を広げ、天日干しで乾かす
- フルイで根や微塵を取り除く
フルイで根や微塵を取り除く手順は、寒起こしの時と同じです。 - 黒ビニール袋に古土を入れ、水を加えて湿らせて密封し、日なたで放置
透明ビニール袋でなく黒ビニール袋を使うのは、熱を吸収しやすくする為と、コケ等の発生を避ける為です。
放置する日数は、夏は2~3日、春や秋なら1週間が良いようです。 - リサイクル材を古土に混ぜる
リサイクル土の使い方
わたしの場合、栽培時には下半分にリサイクル土/上半分に新品の培養土と、新旧培養土をあわせて使っています。
古土をリサイクルすると、フルイで根や微塵を取り除く為に量が半分ほどになってしまいます。
また、リサイクル材は「土壌の消毒」「異物除去」「団粒構造再生」は出来ているとしても、前年の栽培で栄養分のバランスが崩れている可能性があります。
なので、新品培養土と合わせて使う方が合理的と思います。
それでも、全部新品培養土にするに比べて半額で済みます。
まとめ
リサイクル作業の為にトレイ/シート/フルイが初期投資として必要になるのが痛いですが、これらは10年以上使えますし、他の用途でも使えるので我慢です。
住宅地では古土の処理も面倒なので、再生して使うのは、それだけでも好都合と思います。
まあ、個人が出来るSDGsとして、培養土のリサイクルに取り組むのは如何でしょうか。