はじめてのイチゴ栽培として、サントリーの四季なりイチゴ『らくなりイチゴ』を育てました。
10Lサイズのプランターに苗を2株植えです。
『サントリー らくなりイチゴ』は四季成りイチゴなので、冬と夏の高温期以外は、一年中収穫する事ができます。
『ビギナーでも安心のうどんこ病耐性で圧倒的に作りやすい』というのが宣伝文句で、確かに うどんこ病 には無縁でで、とても育てやすいイチゴでした。
はじめてのイチゴ栽培では、他の野菜にはないイチゴならではの作業がありましたが、そこそこ収穫もでき大成功でした。
冬越しも成功し、2年目は苗を購入することなく・培養土もそのまま で収穫ができ、コスパも最高でした。
イチゴの基本情報
科名属名:バラ科イチゴ属
生育適温:18~25℃
ただし5~35℃で生育可
水やり :土の表面が乾燥したら
1日1回たっぷりやる
植付時期:四季なりイチゴの場合
春植え_2月中旬~4月中旬
秋植え_9月中旬~11月中旬
収穫時期:4月下旬~10月上旬
夏の高温期を除く
イチゴ栽培のポイント
イチゴ栽培では、イチゴならではの特殊な作業があり、知識とコツが必要です。
とは言え、手順通りに行えば、一年目からでも問題なく収穫できます。
苗の選び方
イチゴの苗は春と秋にホームセンター等で販売されます。
良い苗の選び方
- クラウンが出来るだけ太いこと
- 葉の緑が濃く厚みがあること
- 下葉にカビや変色が無いこと
なお、クラウン というのは茎の根本の膨らんだ部分で、ここから下には根が生え、上には葉茎(ようけい)や花茎(かけい)が生えます。
プランターの選び方 と 植付け方
プランターの選び方
プランターは深さ15cm程度 で、1株当り3L以上の土が確保できるサイズが良いようです。
つまり標準サイズのプランターで2株育てられます。
培養土は市販の 元肥入り培養土 を使って育てるのが気楽でお勧めです。
値段の高いイチゴ用の培養土もありますが、普通の野菜の培養土でも問題ありませんでした。
植付け方
イチゴのプランター栽培では、イチゴの実をプランターの淵から外に垂らす為に、『苗を若干片側に寄せたり』『苗を若干斜めに植え付けたり』する植付け方もあるようです。
ですが標準サイズのプランターの大きさでは、普通に中心軸に植えても別に問題はありません でした。
気にしなくて良いと思います。
作業手順
- プランターに培養土を入れ、苗が収まる程度の穴を空ける。
- 人差し指と中指の間で苗を優しく挟み、上下ひっくり返してポットを外し、軽く手で押えながら根鉢を崩さずに培養土に空けた穴に植付け、株元に土寄せして軽く手で押える。
- クラウンに土が被らないように、苗の土の上には培養土は足さない。
- 葉やクラウンを避け、根本の土にプランターの底から水が流れ出るまで水をタップリ与える。
クラウンはイチゴの生長点なので、土の中に埋めると腐ってしまい、イチゴは育ちません。
『クラウンについた葉の付け根が地上に出て』かつ『根っこが見えない程度の浅植えにする』のが植付けのポイントなのですが、ポット苗を買った場合は、ポット苗の土の上面を植付け時の上面にしてしまえば簡単です。
苗の植付け時に、苗についているランナーをプランターの裏側に向くように、苗の方向を揃えて植付けるのが良いとされます。
これは花はランナーの反対側につき易い為で、苗の方向を揃える事で、プランターの正面側に花と果実を揃える事ができます。
防虫ネットとマルチング
アブラムシ/ハダニ/ナメクジ等の対策として、また結実後の鳥害対策として、『植付け直後から防虫ネットを被せます』。
水やりでの泥はね等で葉や実に土がつき、それが原因での病気を避ける為と、土が乾燥するのを防ぐ為に、藁等を株元にしく マルチング を行います。
ただし、わたしは藁を使うのに管理面と費用面で抵抗があったので、代用で 水切りネット を使っています。
【参考記事】
栽培する場所
風通しのよい日なたで育てます。
ただし、気温が30℃を超えるようになったら、直射日光が一日中当たる場所は避けた方がよく、半日陰に移動します。
可能であれば遮光ネットの使用がお勧めです。
水やり
土の表面が乾燥したら、葉やクラウンを避け、プランターの底から水が流れ出るまで、株元に優しくハスを使わずに水に手を添えてタップリ与えます。
防虫ネット越しでも水やりはできます。
ですが、ランナーカットや葉かきも必要ですし、ネット越しだと生育状況や害虫の有無の確認もし難いので、基本的にネットを外して水やりしましょう。
葉かき
葉が多すぎると風通しが悪くなり病害虫の原因となります。
葉が重なるので光合成の効率が悪く、見た目ほど成長にも良くありません。
この為、余分な葉を株の向こう側が透けて見える程度まで取り除きます。
これを 葉かき といいます。
葉かきは 異常な葉/古い葉 から取り除き、一つの幹から生える葉を 4~6枚程度 にします。
イチゴでは、『1つの葉茎から3つの葉が生えている状態を1つの葉』というので、葉茎が4~6本になります。
後で述べる脇芽も育てる場合は、各脇芽からの葉茎も4~6本までにします。
ランナー処理
ランナーが伸びてきたら、収穫前は栄養がランナーに取れれないように全て切ります。
収穫後に苗をつくる場合は、伸びたランナーから子株を育てます。
追肥
植付け後、花が咲き始めたら『 1株に対し化成肥料5gの割合で 』を土の表面全体にまき、土と軽く混ぜます。
らくなりイチゴ のような 四季成りイチゴ では収穫期間が長いので、その後も収穫できている期間は『2週間に1回程度の頻度で』追肥を与えます。
なお、一季成りイチゴでは収穫期間が短いので、花が咲き始めた頃の1回だけ追肥します。
また、一季成りイチゴでも四季成りイチゴでも、『2年目以降の冬越し後』の3月初旬~4月初旬の休眠から覚めた頃に、上記同様に追肥を1回行います。
人工授粉
イチゴの授粉はミツバチや風でも行われるようですが、家庭菜園では人工授粉が基本で、特に防虫ネットを使う場合は人工授粉が必須になります。
人工授粉のタイミング
人工授粉とは、花の中心の雌しべに周りの雄しべの花粉を付ける事です。
花が咲いたら、化粧筆等の柔らかな素材で、優しく均一に 人工授粉 を行います。
ただし花が開花した1日目は、雌しべは立派ですが雄しべは小さくまだ成熟していないので、雄しべは花粉を出せません。
開花してから2日目以降に、雄しべが広がり・雄しべの先端の 葯(やく)が大きくなり、そして 葯(やく)が開いてはじめて花粉を出せるようになります。
気温が15℃と低く微妙。まだ早そうだが一応花粉も出た見たい。
イチゴでは、昼間の気温が15℃以下の低温の時や湿度が高い時には雄しべの葯が開かず、花粉がでないようです。このような時に人工授粉をしても実にはなりません。
また、イチゴは開花してから『5日を過ぎると受精能力が低下』してきます。それにつれて花びらが落ちだします。
なので、人工授粉は『開花してから3日から4日の間』に『葯が開き花粉が出てくる午前中』におこなうのが良いとされます。
ただ、『開花直後でも雌しべには授粉の能力がある』ので、花が沢山咲いていて、成熟している他の花の花粉で授粉できるなら、開花直後の花を人工授粉しても問題ないようです。
というか、沢山花が咲き出したら、どれが3日目かなんて分かりません。
わたしの場合は、適当に優しく何度も人工授粉して上手く行っています。
ブラシで人工授粉するときに、筆に黄色い花粉がつくならば、人工授粉の成功確率が高いです。
人工授粉の方法
お勧めは ダイソーで購入したチークブラシ です。
なんといっても筆先が柔らかく、白いので花粉が付着しているかの確認も容易です。
筆に優しく雄しべの花粉を移し、雌しべ全体にまぶすように花粉を付けます。
のの字を描くようにすると良いようです。
実が大きくなってきました(5月11日)。
収穫
実がヘタまで真っ赤になってきたら、熟しすぎないうちに、へたの部分をハサミ等で切取って収穫します。
熟しすぎると腐り、病害虫が発生する原因にもなるので、収穫できるまで育ったらすみやかに収穫しましょう。
まだ少し早くかった見たいです。
冬の管理
イチゴは寒さに強いが、ー5℃を下回ると凍害の危険があるようです。
積雪がない場合はトンネルに寒冷紗等を掛ける寒さ対策が必要です。
積雪する場合は、雪が寒さを防ぐので特別な防寒対策は不要です。雪に埋もれて春を待ちます。
12月から2月下旬の気温が0℃になる時期は休眠期間に入るので、水やりは控えますが、完全に乾燥させると枯死してしまうので、土が乾いたら控えめに水やりをする必要があります。
積雪したら水やりは不要です。
【参考記事】
冬越し後の春のお手入れ
冬を越したら、枯れた葉の除去や、春からの生育の為の追肥を行います。
【参考記事】
こんな時には(栽培時のコツ)
花が咲かない
花が咲く花茎とは
イチゴは葉がつく葉茎には蕾/花は付きません。
花芽分化した花茎に蕾/花が複数つきます。
なので、花が咲くには花芽が成長するまで待たないといけません。
花茎はランナーとは伸びる長さが明らかに違うので、簡単に見分けが付きます。
- 花茎はランナーのようにスルスル伸びたりしない
- じわじわ長くなり葉茎より短いうちに蕾/花が咲く
イチゴの花。花茎に複数のつぼみが付く。
花茎ができる条件(花芽分化)
花芽ができるには花芽分化が必要ですが、花芽分化が起こる条件は、一季成りイチゴと四季成りイチゴで異なるようです。
一季成りイチゴでは、秋の低温と短日によって花芽が形成され、このとき形成された花芽だけが実になります。
しかし四季成りイチゴでは花芽分化に温度も日長もあまり関係がなく、休眠の時期以外は花芽が年中継続して形成されるので、春から秋にかけて長期にわたって花が咲き・実がなります。
私の場合は、栽培1年目は、4月に植付けてからなかなか花が咲かず心配したのですが、7月初旬に待望の花が咲きました。
栽培2年目では、冬越し後に4月から花が咲きました。
その後収穫し、一旦花がなくなりましたが、しばらくすると、また花が咲き出しました。
葉が茂りすぎる(脇芽かき)
イチゴが成長すると、葉茎の内側に小さい芽が出てきます。
これは 脇芽 と呼ばれ、放置すると 葉が茂り過ぎる ことになります。
脇芽にはメリットとデメリットがあります。
- メリット
脇芽を残すと実を多く収穫できる。
主幹が弱った時のバックアップになる。 - デメリット
株の栄養が分散され、実が小さくなる。
葉が茂り過ぎ、病気や害虫被害の原因になる。
その為、適切に脇芽を摘み取ることが必要です。
この作業を 脇芽かき といいます。
考え方はミニトマトの脇芽と同じで、基本的に脇芽は摘み取る方が、実が 大きく・甘く なるので推奨されますが、上記のメリットを考慮し、少し残す選択もあるようです。
わたしは主幹を含めて3個まで残すことにしました。
アザミウマにやられた
アザミウマは体長が1mm程度で細長い、とても小さな虫です。
奴は花に付いて汁液を吸い、そのせいでイチゴの実の外観が悪くなり、実の表面が固くなります。
一応食べられますが、食感がかなり悪化します。
対策には以下の方法が代表的なものになります。
1と2を実際に試してみましたが、いま一つでした。
- 黄色/青色粘着シートで捕獲
⇒捕獲は出来るが効果は限定的 - 赤色防虫ネットで侵入防止
⇒農家用は高価なので赤い収穫ネットで代用したが、紫外線で退色し断念。 - 殺虫剤で駆除
⇒使いたくない。 - 天敵製剤で駆除
⇒家庭菜園では無理。 - 目の細かい防虫ネットを使う
⇒プランターの防虫ネットでは、換気できず高温になるので無理。 - シルバーマルチで忌避
⇒これはまだ試していません。
現時点で一番効果的なのは、以下の対策でした。
- 葉かき/芽かきを徹底
風通りを良くし、アザミウマを見逃さない。 - 人工授粉時に筆に潜らせて捕獲
アザミウマは花に息を吹きかけると簡単に見つけられます。
筆を押付けると潜り込んでくるので、筆の毛ごと潰す。 - 泥はね防止のマルチングをした上で雨に適度に晒す
炭疽病の懸念から、イチゴを雨に当てるのを避けていたが、乾燥はアザミウマには快適。
マルチングをした上で、多少の雨には当てるようにした。
これで、実害無いレベルまでアザミウマの発生を抑え込めそうです。
まとめ
はじめてのイチゴ栽培は分からない事だらけでしたが、育てやすい『らくなりイチゴ』のおかげか、1年目からでも収穫できました。
1回経験すると、2年目はもうそれこそ らくらく です。
すこし難しいけど楽しい!
イチゴ栽培。お勧めです。
補足:イチゴ栽培でおすすめの本
一季なりも四季なりも詳しく栽培方法が書かれてます。お勧めです!